こんにちは。てあつい整体院の古閑です(鍼灸師・国家資格保有)。
当院には、
「慢性的な腰痛がなかなか良くならない」
「マッサージでは一時的」
「原因がわからない」
といった、深刻な悩みを抱えた多くの患者様が来院されます。
実は、そのしつこい腰痛の本当の原因は、あなたが思っている場所とは違う「神経の疲れ」にあるのかもしれません。
今回はそのメカニズムを、専門家の視点から徹底的に解説していきます。
なぜ、同じ腰痛をくり返すのか?
慢性的な腰痛の多くは、「筋肉が固い」「骨盤が歪んでいる」だけが原因ではありません。
脳と脊髄には、痛みを抑える仕組みである下降性疼痛抑制系というシステムがあります。
このシステムがストレスや疲労、自律神経の乱れによって機能低下すると、脳が「痛みを感じやすい状態」になってしまうのです。
つまり、痛みの本質は“筋肉”ではなく、“脳の認識”にあるとも言えます。
鍼が神経に与える影響
鍼治療は、筋肉を緩めるだけでなく、神経ネットワーク全体を再教育する働きを持っています。
その作用は大きく分けて4つの段階で起こります。
① 末梢神経レベル:感覚の「入力」を整える
鍼を刺すことで、皮膚や筋膜に存在するAδ線維やC線維が刺激され、痛みのセンサーがリセットされます。
また、筋紡錘や腱紡錘などの感覚受容器を介して、筋の張力や姿勢制御を調整。
これにより、脳が「身体の位置情報」を正確に認識し直すことができます。
② 脊髄レベル:痛みの「ゲート」を閉じる
脊髄には「ゲートコントロール理論」と呼ばれる仕組みがあり、痛みの信号が脳へ伝わる前に調整されています。
鍼刺激はこのゲートを“閉じる”方向に働かせ、痛みの信号を脳へ届けにくくします。
また、脊髄内でエンケファリンやGABAといった痛みを抑える神経物質が分泌されることもわかっています。
③ 脳幹レベル:痛みを「抑える脳」を呼び覚ます
鍼の刺激は、脳幹にあるPAG(中脳中心灰白質)やPMRF(橋網様体)を活性化させます。
これにより、セロトニン・ノルアドレナリン・エンドルフィンといった神経伝達物質が分泌され、
“痛みを抑える脳の仕組み”が再び働き出します。
さらに、PMRFの活性化は、姿勢や自律神経の安定にもつながり、慢性腰痛の背景にある「姿勢神経の乱れ」も整えていきます。
④ 大脳レベル:痛みの「感じ方」を変える
慢性痛では、脳の中で「痛みの記憶」や「恐怖回路」が形成され、実際の損傷がなくても痛みを感じやすくなります。
鍼刺激によって、島皮質・前帯状皮質・前頭前野といった感情処理・認知領域が変化し、
痛みに対する不安や恐怖が減少することが報告されています。
つまり、鍼治療は「痛みの感じ方そのものを変える」アプローチなのです。
てあつい整体院の“神経再教育アプローチ”
当院では、鍼治療を「筋肉をゆるめる手段」ではなく、神経を再教育するツールとして活用しています。
痛みの入力から出力までを整える、てあつい独自の統合アプローチです。
- ① 鍼刺激:神経の過敏化をリセットし、感覚入力を整える
- ② TNブレイン×ハイボルト:三叉神経刺激でPMRFを賦活、脳幹の働きを回復
- ③ トムソンベッド矯正:前庭・小脳との連動を再構築し、姿勢を安定化
- ④ 楽トレ:インナーユニットを再学習し、神経−筋−骨格の出力を統合
「リセット → 学習 → 定着」のプロセスで、痛みが戻らない身体をつくっていきます
まとめ
てあつい整体院では、神経学や解剖学に基づいた施術を行っています。
不調の背景は単純ではなく、生活習慣や体質、脳神経・筋膜・骨格・ホルモンなどが複雑に関係しています。
だからこそ私たちは、評価 → 施術 → 再評価を重ね、リセット → 学習 → 定着のプロセスを大切にしています。
その積み重ねを通じて「心身の変化」を実感し、あなたらしい日常を取り戻していただけるようサポートいたします。
※効果や体感には個人差があり、必要に応じて医療機関の受診をご案内します。
参考文献
- Han, J.S. (2011). Acupuncture and endorphins. Neuroscience Letters, 491(3), 205–210.
- Napadow, V. et al. (2007). Neuroimaging evidence of central modulation in acupuncture analgesia. Human Brain Mapping, 28(3), 226–233.
- Mosabbir, A. A. et al. (2022). Mechanisms behind the Development of Chronic Low Back Pain. Life, 13(1), 84.
- Tracey, I. (2016). Dissociating pain from nociception: insights from neuroimaging. Pain, 157(Suppl 1), S119–S124.

