こんにちは。てあつい整体院の佐伯です(柔道整復師・国家資格保有)。
40〜50代の女性から、こんな声を多くいただきます。
「急に腰のだるさと重さが抜けなくなった」
「ホットフラッシュや不眠と一緒に腰まで痛くなる」
「ストレッチをしても、マッサージでも良くならない…」
実は、更年期に起こる慢性腰痛の原因は、筋肉や骨盤だけではありません。あなたが思っている場所とは違う「神経の疲れ」にあるのかもしれません。
今回はそのメカニズムを、専門家の視点から徹底的に解説していきます。
なぜ更年期になると腰痛が増えるの?
エストロゲン(女性ホルモン)の低下
- 軟骨・コラーゲン生成の低下により、関節や筋肉の保護力が落ちる
- 骨密度の低下で、腰椎や骨盤周囲に負担が集中しやすい
- 血流低下と筋緊張により、こり・重だるさが慢性化
自律神経の乱れ(ホットフラッシュ・不眠)
エストロゲンは脳の視床下部にも働き、自律神経のバランスに関与します。低下すると…
- 交感神経が優位になり、体が常に緊張状態に
- 末梢循環が低下して筋肉が酸欠・硬化
- 不眠・ストレスで痛みに敏感な脳の状態に傾く
「ホルモンだけではない」脳と痛みの関係
本来、私たちの脳には“痛みをやわらげるスイッチ”=痛みのブレーキがあります(医学的には「下降性疼痛抑制系」)。
更年期のホルモン変化やストレス・不眠が続くと、このブレーキの効きが悪くなり、痛みを感じやすい状態に傾いてしまいます。
| 関連部位 | 役割 | 更年期に起きやすい変化 |
|---|---|---|
| 視床 | 痛み信号の中継・選別(ゲート) | 痛みの“ブレーキ”が弱まり、刺激を通しやすくなる |
| 島皮質 | 痛みの不安・不快感の評価 | 不安・イライラで痛みが強く感じられる |
| 脳幹(RVM/PAG) | 脳から脊髄へ下る“痛みブレーキ信号”の中枢 | 睡眠不足やストレスでブレーキ信号が弱くなる |
てあつい整体院のアプローチ
神経系へのアプローチ
- 頸や仙骨まわりの神経を整え、脳が痛みにブレーキをかける働き(体の中の“痛みを弱めるスイッチ”)を回復
- 鍼や神経刺激で自律神経の過緊張をゆるめ、痛みの感じやすさを下げる
骨盤・姿勢の安定化
- トムソンベッドによる骨盤矯正で、腰にかかる負担の分散
- 更年期で弱くなりやすい腹筋・骨盤底筋の機能トレーニング
生活背景の整え(睡眠・ストレス・血流)
- 温熱ケアや呼吸法で副交感神経を優位にし、筋のこわばりと痛み感受性を軽減
- 睡眠衛生の見直しで、脳の“痛みブレーキ”が働きやすい環境を作る
放っておくとどうなる?
- 慢性化により「痛みの記憶」が脳内で固定されやすい
- 運動不足 → 骨密度低下・体重増加 → 膝や股関節痛へ波及
- 不眠・抑うつ傾向が強まり、痛みの悪循環に
早めのケアが、将来のあなたを守ります。
こんな症状があれば相談してください
- 腰の痛みや重だるさが1ヶ月以上続く
- ホットフラッシュ・不眠・情緒不安定と同時に腰痛がある
- 検査で「骨に異常なし」と言われても痛みが続く
- 痛みが不安・イライラを強め、日常に支障がある
まとめ
いかがでしたでしょうか?
てあつい整体院では、神経学や解剖学に基づいた施術を行っています。
不調の背景は単純ではなく、生活習慣や体質、脳神経・筋膜・骨格・ホルモンなどが複雑に関係しています。
だからこそ私たちは、評価 → 施術 → 再評価を重ね、リセット → 学習 → 定着のプロセスを大切にしています。
その積み重ねを通じて「心身の変化」を実感し、あなたらしい日常を取り戻していただけるようサポートいたします。
※効果や体感には個人差があり、必要に応じて医療機関の受診をご案内します。
参考文献・参考資料
- Ossipov MH. Descending pain modulation and chronification of pain. Pain. 2014. PMC
- De Preter CC, Bannister K, et al. The “In’s and Out’s” of Descending Pain Modulation from the RVM. 2024. PMC
- Nir RR, Yarnitsky D. Conditioned pain modulation: assessing endogenous analgesia. 2015. PubMed
- Mahajan A, et al. Low Back Pain and Menopause. 2019. PMC
- Wright VJ. The musculoskeletal syndrome of menopause. 2024. Taylor & Francis
- Rouhi S, et al. The impact of sleep disturbance on pain perception. 2023. PubMed

